青森県深浦町艫作(へなし)の地名由来は、艫を作ったことからきているのではない。 その昔、朝鮮か渤海国の船が難破してこの辺りにたどり着いた。そこで船の艫(とも・へさき)を作り直して出航させたことから名付けられたという稚拙な地名伝説は漢字の表記が成せる技だ。 真実の地名由来のヒントは「作」を「なし」とよんでいる所にある。付近には日本海に突き出た艫作崎がある。「へ・なし」とは単に「その辺(あたり)」という意味だが、沖合の船から見るとこの半島が艫に似ているので艫成(へなし)崎と名付けたのだ。いつの間にか艫を作るという話が先行して、艫作と表記したのだ。 岐阜県関市の平成(へなり)は小さな谷のささやかな平地の集落だが、単にその辺の村という意味だ。すぐ北には「水成」という地名もある。 沖縄本島の最北端の「辺戸(へど)岬」も似たような地名なのだ。写真はJR五能線艫作駅