長野県白馬村青鬼(あおに)は、集落全体が文化庁によって「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている。 「あおに」はもちろん「青鬼(あおおに)」から変化した言いかただが、地名の由来を考えると、元来はここの地形からすると「あおき」であり、それに「青鬼(あおき)」の文字を与えたものだろう。 全国各地の「あおき」は「青木」の表記がほとんどだが、ここは伝説とのからみでこう表記しているのだ。 「あおき」はアボ・キ(場所の接尾語)で、アボはアズやアゾと同じく急崖の崩壊地形を示す言葉だから「あおき」は危険地帯を示している。 路傍で「横麻(よこあそ)」というお店を開いていた松倉(まつくら)広さんは、自宅の屋号を店の名前にしていた。 屋号に「アソ」、名字に「クラ」と、いずれも崖地形を示す言葉が見えるのは偶然ではない。