地名の由来が一目でわかる!


by baba72885

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「鬼」地名(その2)

○「鬼」の山                                                    「鬼」のつく山は、巨岩の存在や鬼伝説にまつわるものが多い。広島市佐伯区の「鬼ヶ城山」には八畳岩という巨岩があり、宮城県丸森町の「鬼形山」は山頂にある鬼石という巨岩に由来する名前だ。広島県廿日市市と山口県岩国市の境界にある「鬼ヶ城山」は頂上付近に巨岩があり、地域の人たちは動物の住む洞窟を「じょう」と呼んでいるので、鬼の住む巨岩の洞窟という意味で「おにがじょう」としたのだという。岡山県総社市の「鬼ノ城山」は古代の山城の石垣が残り、まさに鬼の城の感があって鬼伝説がある。山口県下関市の「鬼ヶ城山」は源頼光の鬼退治と蒙古襲来時の敗残兵の砦伝説が錯綜している。福島県いわき市の「鬼ヶ城山」は鬼が住んでいたという伝説の山で、「いわきの里鬼ヶ城」というレクリェーション施設がある。愛媛県宇和島市の「鬼が城山」は、この地方の祭りの山車に見る「牛鬼」に似た形の山という。伊那山地の最高峰である長野県豊丘村の「鬼面(きめん)山」は、頂上直下に露岩があり、崩れた岩石のざらざらした急な登攀路はとても滑りやすく危険である。飯田市方面から見た夕日に映えるこの山を、赤鬼の顔に見立てて名付けのだ。同じような由来を持つ山に、福島市の「鬼面山」、新潟県糸魚川市と魚沼市に「鬼ヶ面(おにがつら)山」、福島県天栄村に「鬼面(おにつら)山」等がある。秋田県仙北市の「おにかべ(鬼壁)山」は「おにこうべ(鬼首、鬼頭)山」が訛ったものと思われる。長崎県福江島の「鬼岳」は、五島列島のシンボルであり、周辺の火山群の中では群を抜いて大きいことから名付けられた。熊本県水俣市の「鬼岳」は、「おんたけ」と発音しているが、小さいけれどその溶岩ドームは鬼の名にふさわしく、周囲を威圧する姿を見せる。山梨県芦川村の「鬼ヶ岳」は、山頂部がとがって鬼の角のように見える。日本最古の鬼伝説の地と自負する鳥取県伯耆町には「鬼っ子ランド」や「鬼ミュージアム」があり、背後の「鬼住(きずみ)山」には孝霊天皇の鬼退治物語が伝わっている。鳥取県日南町の「鬼林(きりん)山」にも孝霊天皇の鬼退治伝説があるが、千葉県富津市の「鬼泪(きなだ)山」と同じく「き」の音を借りただけのような気がする。                      ○峠・坂と「鬼」                                         峠や坂に「鬼」の地名はうなづける。つらくて難儀な峠越えに、人は鬼(神や仏)の存在を意識してしまうものだ。茨城県石岡市鬼越(おにごし)や岩手県滝沢村鬼越の「鬼越(おにごり)峠」には鬼婆伝説がある。この付近には「鬼古里(おにごり)山」もある。「鬼坂」という地名は岩手県岩泉町、栃木県矢板市、東京都町田市、静岡県浜松市、京都府与謝野町、美山町、兵庫県篠山市、鹿児島県出水市等各地に多い。また、新潟県佐渡市には「おに坂」がある。北海道占冠(しむかっぷ)村の「鬼峠」の名は、占冠からニニウに越える峠道が尾根づたいに通じており、「尾根峠」の発音が変化したものだろう。北国の厳しい峠越えには、「鬼」の名がふさわしい。                                               ○その他                                                千葉県市川市鬼越(おにごえ)は京成線の駅名にもなっているが「鬼」とは無関係だ。付近の台地の縁が崩れやすく、人々は「大崩(おーくえ)」と呼んでいたが、やがて「おにくえ」、「おにごえ」と変化してきたという。長野県白馬村青鬼(あおに)は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されている寒村だ。棚田100選にも選ばれた集落からは、北アルプスを遥かに望む雄大な景色を満喫できるが、そこには「青鬼神社」があり、青鬼の伝説が残っている。ただ、「青鬼」を「あおき」と読み、この村に最初に入植した「青木某」に由来するという説もあるが、案外当たっているかもしれない。                                            
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by baba72885 | 2008-03-30 20:57

「鬼」地名(その1)

○「鬼」地名と奇観                                                「ひめあざみ、ひめゆり」に対して「おにあざみ、おにゆり」があるように、日本人は小さくて可愛いものには「姫」、大きくてグロテスクなものに「鬼」をイメージしている。地名も同じで「鬼」地名の中には恐怖感や畏れを抱く巨岩や洞窟、奇怪な自然現象等につけられているものがある。 和歌山県田辺市の「鬼橋岩」は、見事な岩の架橋を見せ、奇岩怪石の渓谷美を誇る岐阜県御嵩(みたけ)町の「鬼岩公園」や荒々しい海食崖を見せる三重県熊野市の「鬼ヶ城」、宮崎県の青島や日南海岸にある「鬼の洗濯岩」等がある。熊野市の「鬼ヶ城」は岩礁の多い荒磯と奇岩の海食崖であり、本来は「鬼ヶ礁(しょう)」ではないのか。群馬県嬬恋村の「鬼押出し」は、浅間山の噴出した黒い溶岩の荒れ野だ。その由来は「火口で鬼が暴れ、溶岩を押し出した」と、噴火の様子から命名されたというが、むしろ流れ下った溶岩の不気味な岩塊の群れを目にした村人が「鬼」を連想したものだと思う。福島県田村市の「鬼穴」や岡山県真庭市の「鬼の穴」という鍾乳洞は、妖気漂う洞窟を見て「鬼」の開けた大きな口を思い浮かべたものだ。山口県秋吉台のドリーネ(石灰岩の台地にある漏斗状のくぼ地)にも、「鬼ノ穴」と名付けられたものがある。周辺のものと比べると格段に大きいくぼ地に「鬼」を感じたのだろう。秋田県鹿角市にあるカルデラ式火山「秋田焼山」の中央火口丘の火口湖を「鬼ヶ城」というが、その由来は、この異様なお釜を見て噴火当時の「岩漿(がんしょう):マグマのこと)」を想い「おにがしょう」といい「鬼ヶ城」としたのだろうか。島根県奥出雲町には「鬼の舌震(したぶるい)」県立自然公園がある。不思議な地名であるが、「出雲風土記」の伝説がその由来だという。「・・和仁(わに)の慕(した)ぶる・・」が訛って「鬼の舌震」となったとされるが、大馬木川の両岸にある柱状節理の断崖と奇岩怪石の続く幽谷は「鬼」の谷にふさわしい地名であり、ことさら「和仁」を持ち出す必要はないと思う。宮城県の鬼首温泉、北海道小平町の鬼鹿温泉の由来は、煮えたぎって渦巻く温泉を「鬼」の憤怒の形相にたとえたのだろう。                                              ○ 「鬼」と鍛冶、鉱山                                   昔から、古代製鉄法の「蹈鞴(たたら)吹き」に従事する人や、金属鉱山の採掘鉱夫の姿を「鬼」に見立てたことから、「鬼」地名は鍛冶や金属鉱山と深く関係している。岐阜県垂井町にある美濃国一ノ宮の「南宮大社(仲山金山彦神社)」は、鉱山を司り、鍛冶や金工技術者を守護する神を祀っており、本尊の絵画には「鬼」が描かれている。青森県弘前市鬼沢は岩木山の東麓にあるが、この津軽地方には古くから悪霊や疫病を除くため、氏神様に「鬼」を祀る風習がある。また、岩木山は修験道と鍛冶集団に関係した鬼と刀鍛冶にまつわる話が伝わっており、もとは「岩鬼山」であったかもしれない。なお、鬼沢の背後には鉱山を思わせる「黄金山(こがねやま)」もある。山形県鶴岡市と温海町の境には「鬼坂峠」があり、越後の鬼が安部貞任を助けに来た話と、鍛冶屋にまつわる伝説が残っている。「鬼の舌震」のある島根県奥出雲町には「鬼」がご神体の「鬼神社」があるが、ここは砂鉄の産地で、蹈鞴の栄えた場所だ。福井県越前市の「鬼ヶ岳」は麓に鬼退治の物語を残しているが、付近にはかつて水銀鉱山があった。長野県喬木村の「鬼ヶ城山」周辺にはかつて磁硫鉄鉱、閃亜鉛鉱等の鉱山があった。                                                 ○ 「鬼」と古墳                                           「鬼」の音は「隠(おん)」から来ているという考えがある。「隠」は隠(かく)れるとか、隠(こも)るということで、隠れる場所である古墳にも「鬼」の名が付けられている。また、古墳は人死の魂の宿るところだが、「魂」という字にも「鬼」が使われており、古墳と鬼の関係を示している。奈良県の飛鳥にある「鬼のまな板」と「鬼の雪隠」はセットで古墳の石室を作っていたものだ。長野県木島平村の「鬼窟古墳」、池田町の「鬼石古墳」、大分県別府市の「鬼の岩屋古墳」の名は、古墳の石室をも思わせる。他に「鬼塚古墳」が大分県国東市、玖珠町、鹿児島県長島町、長崎県諫早市、佐賀県唐津市、兵庫県神戸市、奈良県御所市等にある。                                                               左《奥出雲町「鬼の舌震」の渓谷》「舌震亭」のお母さん(大正11年生)のつくる「手作り舌震そば(800円)は絶品     右《熊野市鬼ヶ城》駐車場料金の500円はひどい!
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by baba72885 | 2008-03-25 20:48
「かむろ」とは頭が禿(は)げていることである。秋田・山形・宮城の三県にまたがって「神室(かむろ)山地」がある。北から「前神室山」「神室山」「大鏑(かぶら)山」「禿岳(小鏑山)」が連なり、「かむろ」にあえて「神室・鏑・禿」の3文字を使っている。神室山は古くから信仰の山として崇められてきたのでこの字を当てたのだろう。「鏑」は音を拝借し、「禿」は山の姿を反映したものだ。禿(かむろ・ハゲ)の名を持つ山は、頂上付近が禿ている場合が多いが、地質と地形の関係で 山肌が剥げ落ちている山もある。「禿」としては、岩手県遠野市の「禿森」、山形県朝日町「大禿森山」、群馬県水上町「尼ヶ禿山」、新潟県糸魚川市「赤禿山」、岐阜県春日村「大禿山」、熊本県人吉市「禿岳」等がある。他に別表記では、鹿児島県徳之島の「剥(はげ)岳」、長野県飯田市の「兀岳」、石川県金沢市「白兀山」、島根県隠岐の「アカハゲ山」等がある。東京都品川区の東急目黒線不動駅近くには、「禿(かむろ)坂がある。地図を眺めていて、全国的にまんべんなく目にする山の名前に「御岳・烏帽子岳・矢筈山」 がある。御岳は山の尊称としてあり、それぞれ烏帽子と矢筈(やはず)の形に似た山ということだ。烏帽子や矢筈が一般的に見られた時代からして、奈良・平安時代にはそう呼ばれ始めたのだろう。烏帽子は平時に着用する黒い帽子だ。一方、基本的には頭にかぶるものをすべて冠というが、普通冠は祭事の神主や公卿のフォーマルウエアとしてかぶる。それぞれいろいろな種類があって、烏帽子と冠の形が厳密に区別はされてない。大分県由布市の冠山は別名を烏帽子岳ともいう。動詞の「かぶ(被・冠)る」から名詞の「こうぶり・かんむり」が発生したが、頭そのものを「かぶり」ともいうからややこしい。「かぶり」に「かぶる」ものは「かんむり」というわけだ。冠(かんむり)山の由来は、ハゲ山を意味する禿(かむろ)山が訛ったものだとする説もあるが、それなら無理に頭を禿させなくても、「頭(かぶり)」が「かむり」に訛ったと考え、頭の形をした山か、冠に似た山と考えたほうが良い。現に、○○頭という山があちこちにある。冠山の分布は毛無山とは逆に、神奈川県箱根町の冠ヶ岳以外は関東、東北、北海道で見つけるのは難しい。静岡県沼津市旧戸田の金冠山はそのように見えたのだろうし、長野県安曇野市の鍋冠山は少々品の無い名前だ。長崎にもグラバー邸の裏山に、夜景の名所の鍋冠公園がある。他に、姥捨て伝説で有名な冠着(かむりき)山(長野県千曲市)、冠岳(福井県永平寺町・広島県大竹市・大分県佐伯市・熊本県西原村・宮崎県五ヶ瀬町・鹿児島県薩摩川内市)、田ノ原冠山(島根県邑南町)、冠山(岐阜県揖斐川町の福井県境・広島市安佐北区・佐伯区・広島県北広島町・広島県廿日市市・広島県三次市・島根県邑南町・愛媛県新居浜市・鹿児島県薩摩黒島)等が見られる。広島県を中心に中国地方に多いのは、地質上の関係もあろうが、その地方に住む人が程よくとんがった山を右に倣えというわけでそう呼んだのだろう。右《岐阜県・福井県境の冠山》         左《飯田市の兀(はげ)岳 樹木に覆われている》c0134145_20134749.jpg  c0134145_18492615.jpg
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by baba72885 | 2008-03-06 20:29
地名における「毛」の意味は、①木立や草原 ②クエ(崩壊地) ③農作物の3つといわれている。古代の毛野国(群馬県・栃木県)は③の豊かな穀倉地帯であるという説が流布しているが、疑問を禁じえない。むしろ、この地域は毛人(蝦夷)が住み、台地や火山の裾野で荒れた原っぱが多いことから「毛野国」と呼ぶようになったと思う。ざっと拾った「けなしやま」の中には、「毛無山」以外に、「木無山」が北海道、青森県、山梨県と福井県にもある。また、北海道函館市の亀田半島には「気無山」、長野市の飯綱には「怪無山」と表記する山がある。信越国境に4つの「けなしやま」が集中していることで、長野市鬼無里(きなさ)の地名は「けなし」から来ているのではないかと思う。さすがに、「森」地名の群落地である東北の岩手県では、4つとも「毛無森」である。さて、「けなしやま」の分布を見ると、特定の場所に集中している。似たような形の山は全国津々浦々にあるが、特定の地域で一種の趣向として「けなしやま」と意図的に命名したのだろう。北海道では10の「けなしやま」のすべてが、旧渡島(おしま)と後志(しりべし)にある。おそらく、江戸時代に渡島半島を制していた松前藩がそう命名したのだろう。明治になり、屯田兵や一般開拓民が入植した札幌以東の地域には見当たらない。青森県の3山と岩手県の4森は同じく南部藩か、それに先んずる地域の有力者が命名したと思う。同じ東北でも、秋田県の男鹿半島に1つあるものの、それ以南の秋田県、山形県、宮城県、福島県と関東には無い。新潟県の越後山脈に1つと信越国境に4つ集中し、上信国境には「毛無峠」がある。このあたりは上杉謙信の勢力範囲あった地域だが・・・。富士山を取り囲んで山梨県の3山は武田信玄の領地だ。あと、福井県大野盆地の東に1つぽつんとある他は、中国山地にある3山のみである。この3山も積雪のある中国山地という同質地域にあり、山梨県同様偶然の産物とは思われない。さて、「毛無山」の姿を見ると、文字通り不毛のハゲ山にはなっていない。比較的単調な山頂部を持つ山の立ち木を伐採して、牧場やスキー場にした例もあるが、多くの山は、強風、猛吹雪、極寒地等の厳しい気候条件にさらされ、山頂部に樹木が育ちにくい山であるのが現実だ。つまり、「けなしやま」とは樹木がまったく無いか、少ない山で笹原等の姿を「毛」に見立てたもので「毛成(けなし)山」を意味している。ちなみに、函館市の亀田半島にある毛無山の隣の似かよった山の名は「笹積山」という。地名辞典などには、木立が茂っている「木成山」とも考えられるとしているが、「けなしやま」が気候の温暖な西日本一帯にほとんど分布していない状況からすると、受け入れられない説だ。ところで、長野県高山村から群馬県嬬恋村に越える「毛無峠」は、上信国境の四阿(あずま)山から北へ御飯岳に延びる稜線上にあり、あたり一面笹原の様相を見せている。こういう峠が「毛無峠」と名付けられているのは、妙に納得がいく。     ●印 毛無山  ×印 かむろ山・冠山c0134145_20213937.jpg
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by baba72885 | 2008-03-04 21:00