地名の由来が一目でわかる!


by baba72885

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「木場」と焼畑地名

「木場(きば)」といえば、東京江東区の「木場」がすぐ思い浮かぶ。今は、新木場にその役割を譲った感があるが、木材の集散地の代表的な地名として、山間地に多い「土場(どば)」と同じくむしろ一般名詞化している。富山市木場、愛知県飛島村木場、名古屋市港区木場町は、地名にふさわしい機能を備えている。石川県小松市には木場潟があり、木場潟公園がある。さて、長崎・佐賀県を中心に西九州には「木場・古場」地名が多い。「木場」を「こば」と呼ぶことで「古場」の表記があるが、木材の集積場にしては数が多すぎる。やはり新しい開墾地や焼畑関係の地名だろう。「木場」地名で思い出すのは、長崎県島原市上木場地区を訪ねたときの衝撃だ。平成2年から始まった雲仙普賢岳の大火砕流に埋もれた家屋の光景は、今も脳裏を離れない。ほかに、佐賀県伊万里市竹の古場公園、唐津市白木木場、長崎県五島市八蔵木場・鳴木場・諫早市平木場、南島原市大野木場、熊本県八代市内の木場、鹿児島県枕崎市木場などきりがない。焼畑で植えつける作物名のついた地名の熊本県天草市豆木場、長崎県松浦市稗木場をはじめ、黍や蕎麦、粟、小豆などの地名も焼畑と考えてよい。木場と言えば、私の年代は、60年代から70年代に広島カープのエースだった外木場義郎投手を思い出す。完全試合を含む3度のノーヒットノーランを達成した大投手だ。彼の故郷はやはり九州鹿児島県とわかり妙に納得した。そういえば70年代から80年年代、広島の黄金時代の監督は古葉(こば)竹識さんで、彼も鹿児島県出水市出身だ。こばだ!熊本県人吉市のJR肥薩線「大畑(おこば)駅」も焼畑地名だ。 滋賀県東近江市の愛知川上流に「日本コバ934m」という山がある。はたして焼畑か。焼畑は山野の雑木や荒地の草を刈り払うことから始まる。切り開く意味で「切・桐・霧」、刈ることから「狩・借・刈」、刈野から「鹿野・加野」、草を薙(ナ)グことで「薙・名木・那岐・崩」等の地名が見られる。また、火をつけて焼くので「火・焼・八木」の地名もある。「ソリ・ゾリ・ソレ・ノバ・サス」なども焼畑特有の地名である。いくつかの地名を挙げよう。佐賀県伊万里市平沢良(ひらぞうら)、熊本県天草市火打木場、山口市夏焼、愛知県豊田市御内蔵連、長野県上松町焼笹、富山県平村夏焼、三重県宮川村切畑、岐阜県高山市火山、下呂市焼石・火打・夏焼、東白川村捨薙山・無反(それ)山、白川町柿反、揖斐川町大草履(ぞうり)、八百津町赤薙、中津川市夏焼・権四薙(ごんしなぎ)、恵那市焼山  愛媛県愛南町猿鳴(サルナキ) 宇和島市津島町鼠鳴 岡山県奈義町に聳える那岐山1240mは焼畑地名かもしれない。長野県南木曽町柿其(かきぞれ)峠の「ぞれ」は、急な上り坂が続く峠の崩れやすい地形をあらわしている。                      左《日本コバ》政所より見上げたもの                                                                                                                                                                                                                                                                                   c0134145_2152526.jpg
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by baba72885 | 2008-09-28 20:44
○朝廷や伊勢神宮の直轄地に因む地名                                  みやけ(宮崎県西都原市三宅・奈良県三宅町・大阪府松原市三宅(屯倉神社がある)・岐阜県岐南町三宅・愛知県稲沢市三宅・福井県若狭町三宅 みた(岐阜市三田洞・東京都港区三田・滋賀県長浜市三田・奈良県宇陀町見田) みその(滋賀県東近江市御園、奈良県明日香村御園・吉野町御園・兵庫県尼崎市御園) みくりや(東大阪市御厨・長野市御厨・栃木県足利市御厨)                            ○地方豪族に因む地名                             県主(あがたぬし)関係として、長野県松本市県、大阪府柏原市大県・岡山県井原市県主、兵庫県篠山市県守・栃木県佐野市県などがある。国造(こくぞう)関連では各地に国造神社がある。                                  ○天皇や皇后、皇子の名や居住した地の名を冠せた名代や子代といわれた部民の地名。人名はおおむね地名から取ったものだが、中には人名にあやかった地名もあったかもしれない。                             ①春日部(粕壁)・・スカ地名は砂地 埼玉県春日部市・愛知県春日井市・兵庫県丹波市春日(春日部小学校がある) ②長谷部・・川の最上流 奈良県の初瀬川や長谷寺 ③真壁 茨城県桜川市真壁・岡山県総社市真壁・美作市真加部 ④日下部(草壁)・・草原の荒地 岡山県津山市草加部・岡山市草ヶ部・香川県小豆島町草壁・東大阪市日下・愛知県稲沢市日下部・山梨市日下部 ⑤丹治(たじ)部・・高まった土地 岡山県新見市田治部・大阪府岸和田市田治米・堺市多治井・岐阜県多治見市 ⑥谷田(八田)部・・低湿地 福井県小浜市谷田部・滋賀県湖東市八田部・西浅井町八田部・兵庫県太子町矢田部・奈良県五條市八田・田原本町八田 ⑦額田部・・沼地 東大阪市額田町・奈良県大和郡山市額田部・愛知県額田郡・茨城県那珂市額田南郷 ⑧軽部 総社市軽部・奈良県橿原市大軽・岸和田市の軽部池・茨城県かすみがうら市下軽部・滋賀県愛荘町軽野 ⑨乳部(みぶ)・壬生(みぶ)・・皇族の子に乳をやる 三重県伊賀市壬生野・栃木県都賀郡壬生町・広島県北広島市壬生、京都市中京区壬生は「にぶ・にう」で、水辺の低地か赤土の意味だという。 ⑩刑部 大阪府八尾市刑部・京都府南丹市刑部・総社市刑部・新見市小阪部・千葉県旭市刑部岬                               左《西浅井町八田部》  右《若狭町三宅》c0134145_18454575.jpg        c0134145_20254972.jpg
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by baba72885 | 2008-09-20 21:57
わが国の朝廷は、古代律令制度の整う前は、氏姓制度により統治した。品部と呼ばれる農民以外の職人達は、特殊な技能集団を形成し、彼らの居住地には各地にその部民の名前の地名がついた。                             ○服(はとり)部・・機織(はたおり)部民 奈良県上牧町服部・岡山県総社市服部・三重県伊賀市服部・滋賀県彦根市服部・名古屋市中川区服部 ○麻績(おみ)部・・麻を糸に 長野県麻績村麻・飯田市麻績の里・愛知県稲沢市麻績 ○錦織(にしこり)部・・絹織り 滋賀県大津市錦織・岐阜県八百津町錦織 ○鳥飼部 兵庫県淡路市鳥飼 ○鳥取部 兵庫県南あわじ市鳥取・鳥取県鳥取市 ○鵜飼部 岐阜市鵜飼 ・岩手県盛岡市鵜飼 ○犬飼部 奈良県五條市犬飼・長野県飯山市犬飼・長野市犬飼 ○鷹飼(たかつかさ)部 滋賀県近江八幡市鷹飼 ○馬飼部 岡山県井原市馬飼 ○弓削部 大阪府八尾市弓削 ○矢作部 奈良県田原本町矢部・岡山県倉敷市矢部 ○忌(いん)部・・鏡や玉などの祭器の製作 奈良県橿原市忌部 ○玉造部 大阪市玉造・山口県防府市の玉祖(たまおや)神社は玉造の技術集団の先祖を祀っている。 ○鏡作部 田原本町鏡作 ○土師(はじ)部・・埴輪の製作 大阪市藤井寺市土師の里・茨城県笠間市土師 ○陶部 五條市須恵 岐阜県各務原市須衛 瑞浪市陶 滋賀県東近江市土器 ○磯部 三重県志摩市磯部 ○海部 愛知県海部郡・徳島県海部郡 ○日置(ひおき)部・・燭や炭関連の仕事 和歌山県白浜町日置(和歌山県は、現在でも備長炭で有名)・大阪府堺市日置荘・兵庫県篠山市日置・滋賀県高島市日置前・鹿児島県日置市・熊本県八代市日置・山口県長門市日置・愛知県愛西市日置 ○建(たけ)部・・軍事を司る 岡山県建部町・滋賀県東近江市建部 ○津守部・・港の管理 大阪市津守 ○車持部 奈良県桜井市倉持 ○伊福部・・鍛冶のふいごに因む 滋賀県米原市伊吹 伊吹山 愛知県七宝町伊福 岡山市伊福 なお、滋賀県の湖東平野にはこれらの地名が数多い。東近江市には土器町・建部、野洲市の錦織寺、竜王町の弓削・須恵・鏡がある。                               左《橿原市忌部》            右《大阪市玉造》  c0134145_20241029.jpgc0134145_20243995.jpg
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by baba72885 | 2008-09-18 18:54
  古代より日本語の「い」は、水関係の意味を持つといわれている。私の住む地方では、水路のことを「井水(いすい)」という。3月には、毎年恒例の「井ざらい」という用水清掃作業を行い、水路に溜まった砂土の除去と土手の草刈などを行う。井戸端会議の「井戸」も、四谷怪談の「お岩」さんや、加賀の「千代女」ゆかりのあの釣瓶(つるべ)の懸かる井戸のことばかりとは限らない。宿場町などの古い町並みに流れる水路や水場など、さまざまな水辺も「井戸端」だ。徹夜踊りで有名な岐阜県郡上市八幡町を流れる湧き水の「宗祇(そうぎ)水」の周りでは、人々の井戸端会議の姿がみられ、旅人の旅情を一層かきたててくれる。東京都品川区大井の地名由来にはいろいろな説があるが、やはり大きな流れの意味だと思う。この付近に大きな井戸があったという説は、根拠がなく後から付け足したようなものだ。岐阜県恵那市大井町の由来は、市街地を貫く阿木川を「大井」としたのだろう。「大井」だけですでに大きい川の流れを意味しているが、静岡県の大井川はさらに丁寧に川をつけている。「井川」という地名は、「道路」や「規則」のように同じ意味の漢字を並べたものだ。秋田県井川町には井川が流れている。静岡県の大井川の最上流部には井川という集落と、「井川ダム」がある。徳島県三好市にも井川(旧井川町)がある。神奈川県大井町の地名由来は、そのホームページで鎌倉時代の「大井荘」からいただいたものと記しているが、その「大井」の由来を記すべきだ。隣町の中井町の地名を見ると、酒匂川を大井とし、中村川を中井としたのだろう。中井町には「井ノ口」という地名もある。                                      犀川の由来は、「さい」という言葉に注目し、各地の犀川の流れを見て理解できる。日本語の「さ」は小さいとか狭い、ほそいというような意味を表す。「さ・い」は「小さな流れ、狭い流れ」と考えられ、実際の犀川もそのありさまをよくあらわしている。奈良県桜井市の狭井(さい)川はその意味を素直に表現した川の名だ。狭井神社は三輪山登山口になっている。長野県の犀川は「犀竜伝説」が残っている。梓川と奈良井川が松本市の北で合流し、犀川として善光寺平で千曲川に合流する。竜の姿に似て山間地の狭い峡谷を蛇行しいる川を人々は犀川と呼んだのだ。もっとも、もともと奈良井川と犀川は知隈(筑摩)川であったという説が有力である。松本市筑摩が「つかま・ちくま」の中心であり、いま千曲川の流れる地域はむしろ筑摩の辺境であった。秋田県大館市で米代川にそそぐ支流の犀川、福井県永平寺町で九頭竜川に合流するささやかな渓流の犀川、岐阜県瑞穂市を南流し、大垣市墨俣町で長良川に合流する淀んだ犀川、京都府綾部市のJR高津駅の対岸で由良川にそそぐ清流の犀川などがある。金沢市を流れ、日本海に入る犀川は大きい川の支流ではない。加賀百万石の城下町の外堀の役割を果たす西の川を犀川、東の川を浅野川という。この犀川は「西川(さいかわ)」の意味だろうか。岩手県北上市の妻川、宮城県白石市の斉川、丸森町の斉川、栃木県佐野市の才川などはそれぞれおおきな川の小さな支流である。日本人はまだ見ぬ動物の「犀」に特別な意識を抱いていたことが分かる。                                               左《岐阜県瑞穂市の犀川にかかる橋と秀吉の一c0134145_18175348.jpg夜城》           右《長野県c0134145_20124555.jpg安曇野の犀川》                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             
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by baba72885 | 2008-09-08 21:08
c0134145_1329645.jpg                   ≪写真≫ 鶴居村のサンクチュアリー 2016年6月                                                                    鳥の鶴はなぜ「つる」と名付けられたのだろうか。あの長いつるりとした首を見て、人は植物の蔓(つる)と同じ感覚を抱いたのだろう。土瓶や鍋の取っ手も弦(つる)というが如しである。神奈川県真鶴(まなづる)町の名は、細長く延びた半島の形から鶴を連想した地名だろうか。全国に数ある「つる」地名はむしろ、川が曲流するところや、つるつると流れる場所に多い。東京都町田市には「鶴川」があり、そこを「鶴見川」が流れている。和歌山県古座川町鶴川は古座川の小さな支流鶴川の流れに沿った集落だ。大分県別府市郊外の鶴見岳1375mはつるんとしたトロイデ(鐘状)式火山だ。山梨県都留(つる)市の由来となった都留郡の名は、郡内の鶴川、葛野川、桂川、大幡川等が滑るように流れる地域であり、つるつる流れる清流を表現したものだ。宮崎県小林市水流迫(つるさこ)、延岡市川水流(かわずる)はまさに川の流れをあらわしている。それはあたかも、静岡県の富士川、安部川、大井川がするする流れる国に、駿河(するが)国の名がつけられたことに似ている。大分県竹田市の九重連山の中にある「坊ガツル」は「つる」地名の一つの典型だ。「坊」は「崩」で、崩れ易いところ、ここは周囲の山から急斜面を湧き水がするする流れてきて、小さな盆地状の湿地を作っている。低湿地の「つる」地名としては、名古屋市鶴舞(つるまい)がある。JR鶴舞(つるまい)駅すぐには緑に囲まれた鶴舞(つるま)公園があるが、明治時代は「つるま」公園といっていた。後に、漢字で「つるま」を鶴舞としたため、国鉄中央線の駅名も「つるまい」になった。「つるまこうえん」といえば、東京都町田市鶴間に「鶴間公園」がある。都県境の境川を挟んで、神奈川県相模原市に「上鶴間」、大和市に「下鶴間」があり、武蔵国時代はこの付近一帯を「つるま」と呼んでいただろう。「つるま」の「ま」は埼玉の「入間(いるま)」や大阪の「門真(かどま)」のように接尾語的だが、広い空間やその場所を表している。沖縄には「多良間」「普天間」「慶良間(けらま)」等多く見られる。「つる」の地名を若干あげてみる。鹿児島県湧水町鶴丸は、川内川の流れを象徴しているのだろう。福岡県赤村鶴、大分県中津市耶馬渓町津留、大阪市鶴橋、京都市舞鶴、埼玉県鶴ヶ島市、川越市川鶴、兵庫県宍栗(しそう)市鶴木、鹿児島県錦江町鶴園、岐阜県土岐市鶴里町、青森県五所川原市鶴ヶ丘、山形県鶴岡市とこれらは、鳥の鶴とは無関係で、単に「鶴」という縁起のいい瑞祥地名の場所もあるだろう。大分市舞鶴と津留(つる)は大分川を挟んであり、鶴崎は大野川の河口にある。広くこのあたりを「つる」と呼んでいたのだろう。ところで、正真正銘の鳥の鶴からいただいた地名がある。釧路湿原を控えた北海道鶴居(つるい)村は、昭和12年にタンチョウヅルの飛来地、繁殖地に因んで村名とした。今、「鶴居・伊藤タンチョウサンクチャリー」を中心に、活発な保護活動をしている。青森県鶴田町はその昔、鶴がよく飛来したことから名付けられたという。平成になり中国やロシアから鶴を譲り受け、「丹頂鶴自然公園」を開設している。しかし、鶴が飛来した場所は全国にも多いはずで、地名にすることはほとんどないと思う。姉妹都市の鹿児島県さつま町鶴田(旧鶴田町)と同じく、「つるつるした平らな地形の場所」のような気もするのだが。その鹿児島県出水(いずみ)市はマナズルやナベヅルなどが飛来することで全国的にも有名な町だ。市内には「ツル博物館クレインパークいずみ」があるが、鶴関連の地名はない。                                 一方、石川県白山市鶴来(つるぎ)は、鶴が飛来するわけでなく、鶴とは無関係だ。鶴来の地名由来は、町内に鎮座する「金剱(きんけん)宮」からきたものだ。鶴来の住民が和銅年間に、神社の分霊を携えて移住した地が、岐阜県郡上市大和町剣(つるぎ)地区だ。古代の物部氏は「武」を司り、「剣」を神霊として祀り、各地に剣神社とそれに因む地名を残した。北アルプスの剣岳や四国の剣山も物部氏が剣を奉納した山だとされている。また、物部氏と関係なくとも、古代から剣には霊力があるとされ、各地に剣神社や八剣神社が創建されている。「剣」地名には、名古屋市中村区剣町、神奈川県三浦市南下浦町剣崎、石川県輪島市門前町剣地等がある。ここに本当にまいった地名がある。熊本県天草市牛深の「鶴崎」は別名を「剣崎」という。鶴にも剣にも見える岬なのだろうか。                                                  左《神奈川県大和市鶴間駅》  c0134145_21542963.jpg                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      
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by baba72885 | 2008-09-02 20:55