「姨捨」の地名由来と姥捨て伝説
2009年 06月 24日
今村昌平監督・脚本の東映映画「楢山節考」も、見る限り実母のような扱いになっている。 「姨捨」の地名由来に二つの説がある。千曲市のこのあたりにかつて、小さな川の流れ出る場所を意味する「お初瀬・小泊瀬(おはつせ)」と呼ばれる地があり、この発音が「姥捨伝説」と重なって「おばすて」となった説。この瀬は、更級川の最上流だろう。また、崖や傾斜地の意味の「ウバ(奪)・ステ(捨)」から「おばすて」に転訛した説。確かに付近はこのような地形の典型的な場所だ。いずれも「おば」という発音にこだわり、「姥(うば)」ではなく「姨(おば)にしたのだろうか。 ちなみに、かつてテレビ放映された火曜時代劇「怪談百物語」では、「姥捨て山」のタイトルである。JR篠ノ井線「おばすて(姨捨)」駅のある「姨捨」はあくまで、千曲市の固有名詞であることがわかる。 さて、ことのついでに各地にある「姥ヶ懐(うばがふところ)」地名をあげる。「姥が懐」とは、多くは南に面した日当たりの良い場所を意味し、あたかも乳母(うば)の懐に抱かれているような地形名だ。「うば」には、「乳母・祖母・姥」等の字が与えられている。愛知県瀬戸市には「祖母懐」と書いて「そぼかい」と読ませている所がある。まさに姥が懐の地形をよく表している場所だ。 山形県上山市姥が懐、宮城県村田町姥が懐、福島県伊達市姥ヶ懐、茨城県ひたちなか市姥の懐、岐阜県八百津町姥が懐、愛知県新城市姥が懐、徳島県阿波市姥ヶ懐 《長野自動車道姨捨サービスエリア》