平成11年に縁あって、「中津川市の神社」(岐阜県神社廳中津川支部発行)の巻末に「中津川の地名」と題して、主な地名の由来を書かせていただいた。今回再び、合併後の拡大中津川についの地名由来の執筆依頼を受けたので、大字を中心にわかる範囲で引き受けさせていただいた。永久にのこる冊子なので、心して取りかからねばならない。 1福岡 かつての恵那郡福岡村福岡の地名だ。付知川の見事な河岸段丘面に自然につけられた瑞称地名(縁起のいい名前)で、地形を素直に表している。天竜川の河岸段丘には泰阜(やすおか)村や豊丘(とよおか)村などがあり、恵那郡鶴岡村(恵那市山岡町鶴岡)も同じ段丘面だ。 2蛭川 平流川などとも表記されたことがあるが、「ひる」は「汁しる」につながり、湿地を意味する。ひるがの高原、昼神温泉などはその意味だが、恵那郡蛭川村の場合は、平流川とあるようにゆったり流れる川を表現したと思う。沿岸には「奈良井」などという平坦地を流れる小川を意味する地名もある。 3神坂(みさか) 馬籠村と湯舟沢村が合併した時に出来た地名で、もちろん神坂峠からいただいた地名だ。 4馬籠 木曽の馬籠は中津川に合併したが、岐阜県になっても木曽は木曽だから「岐阜県の木曽馬籠」ということだ。もっとも「木曽」の概念はかつての長野県木曽郡の内にかぎる事ではなく、広く美濃地方の東北部もそう呼んでいたことは、豊臣時代の古文書でも明らかだ。 馬籠の由来は全国各地にある馬込、駒込などと同じでこまごまと入りくんだところを意味している。決してお馬さんとは関係がありません。「ま」は「せま」と通じた言葉です。