人気ブログランキング | 話題のタグを見る

地名の由来が一目でわかる!


by baba72885

「渚」・「なぎ」地名 (飛騨高山・信州松本・南木曽町)

「渚」・「なぎ」地名 (飛騨高山・信州松本・南木曽町)_c0134145_1125426.jpg
 山の中は「なぎさ 渚」だらけ
「渚」を聞くと、その人は言う「昔ここは海だった」と。確かに間氷期の縄文海進や古瀬戸内海が中部地方の内陸に深く入り込んでいた時代もあったが、その記憶を歴史時代になって地名にするということは荒唐無稽な話である。岐阜県高山市久々野町渚(なぎさ)は、飛騨川が深く刻んだ峡谷にある地名だ。その険しい崖っぷちを、高山本線と旧飛騨街道、国道41号線が走っている。高山本線「渚」駅は無人駅で、JR保線の関係者と、林業や土木関係の生業を営むわずかの人が住んでいる。「なぎさ」の意味は「海や川の波打ち際」のほかに、「なぎ:険しい崩壊地や侵食地形」と「さ:狭いところor接尾語」の地形名だ。久々野の「渚」はまさにこの地形の典型だ。「渚」地名は長野県松本市にもある。松本電鉄上高地線に「渚」駅があり、周辺は工場(現在はなぎさライフサイトとなっている)や住宅地となっているが、造成される前はかなり厳しい場所だったと推測される。現地は、南西から木曽谷を源流とする暴れ川の奈良井川が、南から田川、東からは薄(すすき)川、女鳥羽(めとば)川 が合流している三角形の狭い土地である。時には洪水で侵食されることもあるが、河川の運搬した土砂や砂礫が堆積している不毛の荒地だったであろう。そのあたりに見える「白坂・巾上・荒井」等の地名もそれを物語っている。大阪府枚方市渚は淀川の左岸にあり、川の波打ち際を意味する。                                さて、「なぎさ」から転訛した「なぎそ」が信州木曽谷にある。木曽郡南木曽町(なぎそまち)は昭和36年に当時の読書(よみかき)村(与川・三留野・柿其の合成地名)、吾妻(あずま)村(蘭・妻籠の合成地名)、田立村の三村が合併してできた町だが、合成地名の名人芸ももはやこれまでであった。新しい町名はそこに聳え、信仰の山として親しまれている「南木曽岳」の名をいただくことにした。南木曽町は木曽谷の南端にあり、名は体を表しているかに見えるが、実は違う。南木曽岳自体、登山道には鎖場があるほど険しい山体であり、以前から「奈岐蘇岳・中岐蘇岳」と記録にあることから「なぎ・そ岳」と考えられ、「南木曽」の表記は木曽を意識した当て字であることがわかる。旧読書村柿其(かきぞれ)地区に「梛野(ないの・なぎの)」の地名が見えることや、「木曽」の地名が「岐阻」と表記されていることもあり「なぎ・きそ・なぎそ」は山の名前のみならず険阻な木曽谷の地形名としてこのあたりに流布していたと思える。                   岡山・鳥取の県境にある「那岐山(なぎのせん)」も「なぎ」地名で、北には八頭郡智頭町那岐があり、南には勝田郡奈義町がある。名家美濃遠山氏1万石の城下町、中津川市苗木(なえぎ)町も、元来の表記は「那木(なぎ)」であり、その地名の起こった地は木曽川に臨む断崖絶壁を控えた場所である。なお、群馬県館林市苗木町は、館林城主が一時中津川市苗木を手にした(「苗木明細記」による)縁による地名だ。                              左 《松本市の渚「渚」・「なぎ」地名 (飛騨高山・信州松本・南木曽町)_c0134145_1843573.jpg》  右《南木曾岳と読書発電所》「渚」・「なぎ」地名 (飛騨高山・信州松本・南木曽町)_c0134145_2125666.jpg                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
by baba72885 | 2007-09-10 20:53