地名の由来が一目でわかる!


by baba72885

休題1 木曽は信州か 「藤村の馬籠が岐阜県に」

「残念だ、悔しい、おらが信州の藤村でなくなる」と、藤村が命の合併反対派は口々にこう嘆き、日々の生活が命の賛成派は、長年の夢がかなったと大歓迎の木曽馬籠だ。天下の大新聞が「藤村を生んだ馬籠が信州でなくなった」と書きたてた。田中康夫前長野県知事が反対したにもかかわらず、平成十七年二月十三日、長年の生臭い紛争の果てに、中山道馬籠宿のある長野県木曽郡山口村は岐阜県中津川市に越県合併をした。田中知事は「馬籠は信州人の精神文化の礎とも呼ぶべき地」と語っていたが、ここに二つの大きな誤謬が含まれている。そのひとつは、木曽馬籠は長野県から岐阜県になっただけのことで、信州の馬籠であることに変わりはないということだ。当時「馬籠が信州でなくなった」と書いた新聞記者の見識の無さに唖然ととしたものだが、長野県と信濃国をはき違えているのだろう。昭和、平成の大合併や道州制が導入されようと、律令政府の制定した旧国はびくともしない。二つ目は、田中知事が「精神文化の礎」と述べたように、藤村をはじめ、馬籠の人々が信州人であることをどれほど意識していたかということである。結論的には、藤村も一般の人々も信濃よりも、木曽人としてのアイデンティティが強く、馬籠は決して「信州の精神文化の地」になりえていないのだ。木曽谷を走る中央線の駅の名は「木曽福島」、「木曽平沢」であり「信濃~」ではない。                                                        文豪島崎藤村は明治五年三月、筑摩県馬籠村の庄屋・本陣の家に生まれた。明治十四年、地元の神坂学校から、東京の泰明小学校に転校し、卒業後は三田英学校から明治学院に転じた。その後教師の時代を経て、文筆活動に専念した。「木曽路はすべて山の中である」という書き出しの代表作「夜明け前」の全編をとおして、彼のふるさと馬籠への愛着を強く感じる。藤村の研究者である長島俊之氏によると、「藤村の作品を通じていえる事は、彼の血につながるふるさと馬籠は、あくまで『木曽の馬籠』であって、『信濃の馬籠』という観念は感じられない」ときっぱり言い切っている。木曽は木曽であり、信濃とは一線を画しているようでならない。実は木曽は元慶三(879)年に美濃国(現岐阜県)として確定して以来、江戸中期ごろまで美濃国として扱っている古文書が多い。平安末に生きた木曽義仲は、美濃国木曽谷の中原氏ににかくまわれていたことになる。幕藩体制では尾張領であった木曽の人々は、信濃国とか美濃国とかの意識は無く、尾張藩領木曽の民として生きてきた。                                 木曽の人々が信濃を意識しはじめるのは、決して古いことではない。明治三十二年に長野県が県歌「信濃の国」を制定したことに始まる。長野県のホームページに「内容はお国自慢の歌であるが、山に隔てられ、バラバラになりがちな県民の心を一つにする役割もあった」としている。長野県は明治九年の立県以来、旧筑摩県民や旧藩領民としての意識が強く残っている県民も多く、松本、伊那、佐久、善光寺の四つの平と木曽谷はそれぞれ独自の地域性を持っていた。県民の心を一つにするためにはこの歌が必要だったのだ。以来、長野県民は「信濃の国」を歌い継ぐことにより、信州人としての仲間意識が全県下に浸透していった。馬籠の人の中には信州に陶酔してしまった人も多かったが、また、藤村のように、あくまで木曽人として生きたいという信念の人も数多かった。                                           今馬籠は、賛成派、反対派とも多少のしこりはあるものの、時代の流れに沿い、信州木曽の馬籠、藤村の馬籠を大切にしながら、岐阜県中津川市民として新しい未来に向けて豊かな歩みを続けている。             ところで「岐阜県民の歌」があるのをご存知だろうか。平成24年の岐阜国体で歌おう。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
[PR]
by baba72885 | 2007-09-28 20:46