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地名の由来が一目でわかる!


by baba72885

禿(かむろ)山と冠山の地名由来

「かむろ」とは頭が禿(は)げていることである。秋田・山形・宮城の三県にまたがって「神室(かむろ)山地」がある。北から「前神室山」「神室山」「大鏑(かぶら)山」「禿岳(小鏑山)」が連なり、「かむろ」にあえて「神室・鏑・禿」の3文字を使っている。神室山は古くから信仰の山として崇められてきたのでこの字を当てたのだろう。「鏑」は音を拝借し、「禿」は山の姿を反映したものだ。禿(かむろ・ハゲ)の名を持つ山は、頂上付近が禿ている場合が多いが、地質と地形の関係で 山肌が剥げ落ちている山もある。「禿」としては、岩手県遠野市の「禿森」、山形県朝日町「大禿森山」、群馬県水上町「尼ヶ禿山」、新潟県糸魚川市「赤禿山」、岐阜県春日村「大禿山」、熊本県人吉市「禿岳」等がある。他に別表記では、鹿児島県徳之島の「剥(はげ)岳」、長野県飯田市の「兀岳」、石川県金沢市「白兀山」、島根県隠岐の「アカハゲ山」等がある。東京都品川区の東急目黒線不動駅近くには、「禿(かむろ)坂がある。地図を眺めていて、全国的にまんべんなく目にする山の名前に「御岳・烏帽子岳・矢筈山」 がある。御岳は山の尊称としてあり、それぞれ烏帽子と矢筈(やはず)の形に似た山ということだ。烏帽子や矢筈が一般的に見られた時代からして、奈良・平安時代にはそう呼ばれ始めたのだろう。烏帽子は平時に着用する黒い帽子だ。一方、基本的には頭にかぶるものをすべて冠というが、普通冠は祭事の神主や公卿のフォーマルウエアとしてかぶる。それぞれいろいろな種類があって、烏帽子と冠の形が厳密に区別はされてない。大分県由布市の冠山は別名を烏帽子岳ともいう。動詞の「かぶ(被・冠)る」から名詞の「こうぶり・かんむり」が発生したが、頭そのものを「かぶり」ともいうからややこしい。「かぶり」に「かぶる」ものは「かんむり」というわけだ。冠(かんむり)山の由来は、ハゲ山を意味する禿(かむろ)山が訛ったものだとする説もあるが、それなら無理に頭を禿させなくても、「頭(かぶり)」が「かむり」に訛ったと考え、頭の形をした山か、冠に似た山と考えたほうが良い。現に、○○頭という山があちこちにある。冠山の分布は毛無山とは逆に、神奈川県箱根町の冠ヶ岳以外は関東、東北、北海道で見つけるのは難しい。静岡県沼津市旧戸田の金冠山はそのように見えたのだろうし、長野県安曇野市の鍋冠山は少々品の無い名前だ。長崎にもグラバー邸の裏山に、夜景の名所の鍋冠公園がある。他に、姥捨て伝説で有名な冠着(かむりき)山(長野県千曲市)、冠岳(福井県永平寺町・広島県大竹市・大分県佐伯市・熊本県西原村・宮崎県五ヶ瀬町・鹿児島県薩摩川内市)、田ノ原冠山(島根県邑南町)、冠山(岐阜県揖斐川町の福井県境・広島市安佐北区・佐伯区・広島県北広島町・広島県廿日市市・広島県三次市・島根県邑南町・愛媛県新居浜市・鹿児島県薩摩黒島)等が見られる。広島県を中心に中国地方に多いのは、地質上の関係もあろうが、その地方に住む人が程よくとんがった山を右に倣えというわけでそう呼んだのだろう。右《岐阜県・福井県境の冠山》         左《飯田市の兀(はげ)岳 樹木に覆われている》禿(かむろ)山と冠山の地名由来_c0134145_20134749.jpg  禿(かむろ)山と冠山の地名由来_c0134145_18492615.jpg
by baba72885 | 2008-03-06 20:29