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地名の由来が一目でわかる!


by baba72885

「青」の地名

『人間(じんかん・にんげん)至るところ青山(せいざん)あり』の「青山」とは「骨を埋めるところ・死に場所」という意味だ。つまり、「人間にはどこでも生きてゆける場所があり、生まれ故郷ばかりが生活の場ではない。人はどこにでも死に場所はあり、広く世に出て活躍すべきである」という金言なのだ。このように「青」はブルーの色を表すほかに、死者の埋葬地にも付けられる地名でもある。大阪府藤井寺市青山は「古市古墳群」のど真ん中にある「青山古墳」の南に「青」の地名_c0134145_22584741.jpgある集落で、新興住宅地となっている。まさに死者の埋葬地の「青」地名である。ちなみに、東京都港区にある「青山霊園」の「青山」とは、美濃国郡上藩主の青山家の下屋敷に由来するもので、霊園はその屋敷跡に造営されたものだ。偶然ではあるが、「青山」はまさに墓地にふさわしい地名であった。福島県会津坂下町の青津には、亀ヶ森古墳と鎮守森古墳があり、隣接して青木もあり、墓地の意味の「青」だ。谷川健一は沖縄にある「奥武(おう)」に注目し、「奥武」は「青(あお・おう)」であり、死者の埋葬地に由来する地名であるとした。沖縄県には奥武(おう)島が南城市、久米島、座間味村、名護市にあり、那覇市の奥武山(おうのやま)公園、北中城村の奥武岬等がある。本土には「奥武」は無いが、「あお」地名の「青」「粟生」「阿保」「阿尾」等がある。果たしてこれらは埋葬地と関係があるのだろうか。ところで「青」の地名が日本海側に集中していることは早くから注目されてきた。谷川氏は、「青」地名は埋葬場所との関連とともに、古代海人族の居住地でもあることを示唆し、日本海側に集中しているのは、彼らが対馬海流に乗って移動した結果だという。西から目をこらして拾ってみた。朝鮮海峡に臨む長崎県対馬市青海、壱岐市の青島、松浦市の青島、山口県下関市粟野、長門市青海島の青海、萩市青長谷、萩市青海、島根県浜田市青浦、浜田市の青川、江津市青山、江津市青波、出雲市青野、松江市の青島と青木島、米子市粟島と粟島神社、隠岐の島町の青島崎、海士町青谷、鳥取県琴浦町粟子、鳥取市青谷、鳥取市の青島、京都府伊根町の青島、舞鶴市青井等は死者を葬った場所と関係があると思う。さらに東へ行くと、福井県高浜町には青葉山、青戸入り江があり、青という集落もある。そこには「JR青郷(あおのごう)駅」があり、いずれも海人と死者に関わる地名だとされる。福井県小浜湾に浮かぶ蒼島はかつて青島と表記していた。若狭湾に突き出た小浜市の大島半島ももしかして青島(おうしま)だったかもしれない。まさか「あおはま」が「小浜(おばま)市」、「あおい」が「おおい町」に転訛したとは・・・思えないこともない。小浜市には青井という地名もある。さらに東へ、石川県金沢市粟崎、羽咋市粟生(あお)、穴水町青島、七尾市青島、富山県魚津市青島、入善町青木と青島、新潟県糸魚川市青海、柏崎市青海川、新潟市青山とつづく。「大」が「青」である良い例として、新潟県糸魚川市青海の大沢地区には、「青澤(おうさわ)神社」がある。また、奈良県の「大和青垣国定公園」の「青垣」は、古くは奈良盆地を大きく囲うようにしてある山々を総じて称したもので、やはり大垣の意味合いをもっていたと思う。「青」は「粟」にも変化している。石川県金沢市粟崎はもと青崎といい、砂丘堤にある羽咋市粟生ももと青と表記した。能美市粟生町や富山県氷見市阿尾は果たして埋葬地と関係があるのだろうか。日本海岸以外の「アオ」地名を追ってみる。兵庫県小野市粟生は、加古川と万願寺川の合流点にあり、「合う」を意味する「アオ」ではないのか。同じように、菊池寛の小説「恩讐の彼方」の舞台となった「青の洞門」は、大分県中津市本耶馬溪町の「青」という地区にあるがゆえにその名がついた。「青」は山国川と跡田川の合流点にあり、やはり川が会う場所に付けられた地名だと思う。徳島県吉野川市粟島は吉野川の中洲にあり、かつては埋葬地であったという。熊本県人吉市中青井、香川県詫間町粟島、新潟県粟島の由来は良く分からない。近鉄大阪線の長い「青山トンネル」で有名な三重県伊賀市青山町は、旧阿保(あお)村他3か町合併時の瑞祥地名というが、町名を青山に決定する際には、その中心的集落の「阿保」を意識したと思われる。この「阿保」は「アワ」に通ずるものであり、大阪府松原市阿保と同じように低湿地の意味だと思う。宮崎県の名勝「青島」は青島神社の神域だが、和歌山県日高町阿尾と同じく、水葬の地と関係があるかもしれない。岐阜県大垣市の西部に「青墓町」と「青野町」がある。付近には古墳があるが、大墓、大野が訛ったものと思う。東京都葛飾区青戸は駅名を「青砥駅」と表記するが、地域の人は「おおと」と発音し「大戸・大渡」として中川の渡し場だったことが分かる。江東区の青海(あおみ)や目黒区の青葉台は、長崎市青山や千葉県千葉市青葉町、宮城県仙台市青葉山のように、周囲の景観からして明らかに瑞祥地名だ。伊豆諸島の青ヶ島は青い海そのものだろう。富士山麓の青木ヶ原は昔、ソウズカと呼びこの青はお墓のことだという。                          左《高浜町青》                右《那覇の奥武山》「青」の地名_c0134145_19225968.jpg  「青」の地名_c0134145_227266.jpg  
by baba72885 | 2008-04-24 21:21